ピストン式充填機は高精度かつ高速での充填が可能な設備で、さまざまな液体の充填に使用されます。ここでは、その概要とメリットについて詳しく説明します。
ピストン式充填機とは、ピストンを使ってシリンダー内の充填物を吸引し、弁を開けて容器(ペットボトルや瓶など)に充填する機械です。構造は複雑ですが、高性能なため多くの充填ラインで利用されています。一般的には醤油、酢、食用油、ジャムなどの充填に用いられます。
ピストン式充填機のメリットは主に2つあります。1つ目は高精度で生産速度が速い点です。200cc以上の高速充填が可能で、大量生産ラインに適しています。
2つ目は粘度の高い充填物にも対応できる点です。他の充填機では充填量が不安定になることがありますが、ピストン充填機はピストンの動作により、粘度の高い物でも定量で充填できます。
ピストン式充填機にはさまざまなタイプがあり、それぞれ異なる用途に適しています。以下に代表的な種類を紹介します。
直線コンベア上で容器を定ピッチに分離し、停止して充填を行う機械です。具材の形を崩さずに充填でき、低粘度から高粘度の物質に対応できます。高精度な充填ができ、歩留まりが向上します。
直線コンベア上で容器搬送と同期しながら移動して充填する機械です。具材の形状を維持したまま充填できるうえ、低粘度から高粘度の材料にも対応できます。高精度の充填が可能なので、生産効率の向上が狙えるでしょう。
円盤で間欠的に容器を搬送し、停止して充填する機械です。
円盤で連続的に容器を搬送し、同期しながら充填する機械です。
多連ノズルを備え、100個/分以上の充填が可能です。ポーション容器やフリーズドライ製品の充填に適しています。
容器の供給と取り出しを人手で行う半自動の機械です。
ピストン充填機の駆動方式にはいくつかの種類がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。自社に合ったものはどれか、メリット・デメリットで比較してみましょう。
エアシリンダで直接、またはレバー機構を介して充填ピストンを押し引きします。
安価で簡便、小型装置に適しています。取扱いとメンテナンスが容易です。
充填量の変更には手作業が必要になります。また充填速度の微調整が難しいです。
カムを駆動源として、リンクやレバー機構を介して充填ピストンを動かします。
充填速度の細かい調整が可能です。ピストン駆動の再現性が高く、耐久性にも優れています。
充填量の変更には手作業が必要で、充填物に合わせた駆動速度の変更はできません。
サーボモータを駆動源として、ボールねじやレバー機構を介して充填ピストンを動かします。
充填物に合わせた細かい駆動速度の設定が可能で、多品種製造に対応できます。
故障時には電気制御に関する知識が必要になります。
※各社公式HPの2021年9月時点での記載情報をもとに用途別に下記基準にて選定
工業用:危険物にも対応した防爆仕様で全自動・半自動充填機を取り扱う営業拠点数の最も多い会社(クボタ公式HP参照:https://scale.kubota.co.jp/fillingmachine/)
食品用:食品専門で外部の検査機関への菌検査依頼への対応を明記している会社(大阪屋公式HP参照:https://www.osaka-ya.com/quality/)
卓上用:小型充填機の導入実績5,000台以上を明記している会社(ナオミ公式HP参照:https://www.naomi.co.jp/strength/)