液体充填機とは、ビンや缶、ペットボトルといった各種容器に液体を充填するための機械です。食品用の液体充填機としては、調味料や飲料といった液体を充填する機械の他にも、はちみつやゼリーといった粘性のある食品を充填するものがあります。
また、全工程を自動で行う全自動充填機と、充填開始などを人間が操作する半自動充填機があり、取り扱う食品や容器の形状、作業環境などに応じて適切な液体充填機を選別することが大切です。
液体充填機で充填できる食品は、どのような食品充填機を選ぶかによって異なります。その上で、一般的にはお茶やジュースといった飲料、醤油やお酢、ドレッシングといった調味料、ゼリーやはちみつなど粘性のあるものや半固形状態のものまで様々な食品があげられます。
ただし、各食品に適応した充填機を選ぶことが前提です。
液体充填機で充填できない食品としては、基本的に粘度が極端に高くて容器へ充填できないものや、強い臭いを有していて充填機による作業に適応しない食品など、様々なものが挙げられます。その他、温度で性質が変わるものも注意が必要です。
そのため、機器ごとに対応可能な食品については事前にチェックしておくようにしてください。
食品充填機を製造ラインに採用することで、機械による自動作業を実現して、作業スタッフの業務負担を軽減できる上、必要な人員を調整することでコスト削減を目指していくことも可能です。
全自動充填機と半自動充填機のどちらを選ぶべきかは、それぞれのコストパフォーマンスと自社のニーズを比較検討した上で判断する必要があるでしょう。
機械によって充填作業を自動化できるということは、作業員の負担を減らせるだけでなく、作業員のヒューマンエラーを防止できるといったことにもつながります。
人間が作業に関わる場合、どうしてもミスや髪の毛の混入リスクといった課題がありますが、適切にメンテナンスされた充填機であれば安全かつ清潔な製造が可能となるでしょう。
食品充填機では、あらかじめ決められている容器に、事前に設定されている通りの量の食品を充填します。そのため、それぞれの商品ごとに量のバラつきが生じるといったリスクがなく、製品の品質を常に一定に保てるという利点があります。
また、充填後に改めて内容量を再調整するといった修正作業が不要になることもメリットです。
全自動充填機はもちろん、半自動充填機であっても充填作業の根幹を機械が行ってくれるため、作業スタッフに特別な技術が必要ない点も重要です。
作業の属人化を防止して、誰であっても一定品質の製品をスケジュール通りに生産できることは、作業の流れを向上させるだけでなく、人材マネジメントとしても見逃せません。
企業によっては食品の製造だけを行い、容器への充填作業は外部企業へアウトソーシングしているというケースもあるでしょう。しかし、自社に充填機を導入することで、外注コストを削減できる上、実際の流れを可視化して安全管理を強化できます。
導入にはコストがかかりますが、長期的に考えればプラスになるケースも少なくありません。
食品用の液体充填機には、ピストン式充填機(容量式充填機)や重量式充填機(ウェイト式充填機)、グラビティー式充填機(落差式充填機)など複数のものがあります。
しかし、大きな選定ポイントは費用対効果とニーズへマッチしているかという2点になります。
導入コストやランニングコストと、充填機で得られる効果を事前にシミュレーションして、自社のニーズや製造環境にマッチしている充填機かどうか比較検討しておきましょう。
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安全管理をしやすく、高品質な食品を安定して作りやすい液体充填機の導入ですが、望み通りのコストパフォーマンスを得るためには、常に充填機が適切な状態に保たれていることが条件です。
液体充填機の清潔性や安全性を保つには、充填機そのものの品質管理が欠かせません。日常的な清掃やチェックはもちろん、必要に応じてメーカーによる保守点検やメンテナンスを受けることも大切です。
また保証期間についても、事前に確認しておく必要があるでしょう。
餃子飲食店を展開するある大手食品メーカーでは、餃子に欠かせないタレのベースとなる、特製の醤油とお酢、さらにラー油を容器に充填する作業に、液体充填機を導入しています。
全国的な餃子飲食店とあって、ラー油の生産本数は一度に1000本を数えることも。工場で調合したラー油を貯蔵タンクに溜め、4連式の液体充填機によって容器に充填されています。容器を設置する作業のみ、作業員が1名で行っています。
ラー油の泡立ちを防ぐために、充填機には特殊なノズルが装着されており、容器への充填作業が終わりに近づくにつれて、自動で供給量を調整。さらに、上記方部への液滴れを防ぐためにタレ受けも稼働します。
全国展開する飲食店の調味料でも、液体充填機を導入することで、作業員1名での対応ができるとあって、非常に生産的です。
福岡県のある養蜂場では、はちみつの生産から容器詰め、さらには出荷までを。すべて自社で手がけており、その生産量は日本最大規模。一日あたりおよそ50缶もの一斗缶(24kg)を出荷するというはちみつの充填作業には、もちろん、液体充填機を導入しています。
従来の作業と比較すれば、作業は圧倒的に効率化。導入されている充填機は、ボタン1つで作業開始から定量充填まで自動的に行えるよう設計されており、作業員の操作による微調整も不要になっています。
また、はちみつの瓶詰め充填も実施。蜜蜂が丁寧に集めてくれた蜂蜜を一滴たりとも無駄にすることがないように、精確な充填作業を行っています。
他社製品の開発や委託充填(OEM)を請け負っている事業者では、ゼリーの充填に液体充填機を新たに導入。これまで1分あたり6本ほどだった生産ラインが、およそ4倍にまで効率化できたと言いますから、驚きですね。2万本のゼリーの発注があっても、納品期限まで余裕を持って進められるようになったそうです。
また、導入したのはハンディタイプの充填機なので、ロット数の大小にかかわらず、幅広い充填ニーズに応えられるようになっています。
事業者によれば、手作業では受けることができなかった委託充填も、液体充填機を導入したことで受注できるようになった、とのこと。ゼリーの容器は小さいこともあるので、人の手による調整も必要かもしれませんが、導入する液体充填機を上手に選べば、新たなニーズにも対応できることがわかります。
創業いらい百年以上に渡って食用油やドレッシングを製造している老舗企業では、これまで使用していた大型の充填機から、ハンディ計量の液体充填機にリニューアルを行った事例があります。
大型の充填機では「洗浄や作業効率の改善が難しい」という課題があったとのこと。製造工場のリニューアルというタイミングで、使いやすい小型の充填機に切り替え、さらなる衛生対策も出来るようになったようです。
ハンディタイプの充填機を使えば、ドレッシングを攪拌機でかき混ぜながら、チューブで吸い上げる充填ができるようになります。また充填作業中には、充填が完了した別の容器のキャッピング作業も並行して出来るようになり、スタッフの作業効率が上がったことも成果と言います。
和風ドレッシング、ごまドレッシングなど、商品の種類にあわせてチューブをセッティングしなおすことで、同じ充填機を使えることもメリットと言えるでしょう。
ジュースやお茶、コーヒーといった飲料水の充填作業でも、液体充填機が導入されています。このような製造現場では、単なる充填作業に止まらず、一次調合液と希釈水の調合も必要な工程になるものです。液体の調合作業では、たいていの場合、調合タンクの大型化が課題になります。また、混合液の調合精度も重要なポイントです。
「株式会社ナカキン」が提案している液体充填機では、混合精度のフィードバックシステムを導入。「+-0.1°Bx以内」という高い精度で液体を混合することができ、しかも、ブレンダーユニットのなかで瞬時に混ぜ合わせることができるため、大容量のタンクも設置しなくてよくなっています。
セットで考えられた洗浄作業も、衛生面の効率アップにつながったと言います。適切な液体充填機を選べば、様々なメリットがあることがわかりますね。
ポリエチレンボトルに充填されることが多いしょうゆ。日常生活に欠かせない調味料ですから、魚の形をした容器や小型容器はもちろん、大型の容器にも充填されます。取り扱われるロット数も非常に多く、ある事例によれば、10万個ものしょうゆボトルを充填しているそうです。
大きなボトルの場合は、液体充填機を活用した定量充填や自動充填が行われています。しょうゆは、固形物の混合もなく、粘性が高い液体でもないため、液ロスのリスクもあまりありません。小型の容器になれば、真空充填という充填方法も行われています。
健康や美容に対する意識が高まっている昨今、ココナッツオイルは人気の商品です。エクストラバージンオイルなど、同じココナッツオイルでも高級志向のものまで登場しています。
そんなココナツオイルの充填は、様々な容器に行われています。「株式会社大阪屋」の事例によれば、ビニール製の容器に液体充填機で充填が行われているようです。
ココナッツオイルは25℃以下の温度になれば、固形化が始まってしまう液体。そのため、徐々に寒くなり始める秋の終わり頃から、暖かくなってくる春先までは、充填作業の前にココナッツオイルを液体にもどす作業を行わなければならないようです。
充填する内容物の特徴にあわせて充填作業も異なってくるため、作業のシミュレーションをしっかりと行い、適切な充填機選びをしていきましょう。
米ぬかから抽出される玄米油は、香ばしい香りが特徴の植物油として、揚げ菓子などの調理に使用されています。使用されている充填機は、サラダ油など、一般的な油性液体と同じタイプであることが多く、玄米油だからといって特別な機種が必要になることはなさそうです。充填作業としてみれば、それほど難易度が高いものではありません。
ただし、充填される容器の大きさによっては、大きな規格の充填機が必要になることも。「株式会社大阪屋」の事例では、650mlのボトルに玄米油を充填していますが、500mlを超えるボトルになると、2000mlまで充填できる規格の液体中転機が使われるようです。
焼き鳥のタレ、焼肉のタレ、うなぎの蒲焼のタレなど、タレは様々な料理に使われることもあり、それ自体種類豊富な液体です。液体充填機のメーカー「株式会社大阪屋」でも、タレを充填するために使用される充填機の受注は、大きな割合をしめています。
タレが充填される容器も、小袋からペットボトル、小さな容器など、とても多様。「どのようなシーンで使われるタレなのか」をしっかりと確認したうえで、適切な液体充填機を選ぶようにしましょう。
充填機メーカーでは、容器まで手配できることもあるようなので、必要であれば合わせて相談してみてはいかがでしょうか。
ライスボイラーによる調理から、液体調味料を製造するラインの様子を確認することができます。充填の工程になると、1kgの袋に液体充填機を使って作業が行われている様子がわかります。袋の取り替えは人の手で行っていますが、液体の移送から充填機による定量充填まで自動化されているため、とても効率的に製造されていることが伝わってきます。
チューブポンプ式充填機は、食品向け液体充填機として最も普及しているものでしょう。仕組みはシンプルで、ポンプを搭載した寸胴やタンクに入っている液体充填物を、タンクに接続したチューブで吸い上げ、もう一方のチューブ先端から放出します。また、ポンプに計量器が連動しており、一定量で充填を制御できることも特徴です。
必要量のソースを塗布したり、プリン液やゼリー液を専用容器に充填したりと、様々な用途に使えることがポイントです。
ピストン式充填機は、基本的に注射器と同様の仕組みの充填機となります。
シリンジのピストンを引き上げることで充填物を吸い上げ、再びピストンを押し込むことで充填物を押し出します。
ピストン式充填機は完全に定量タイプとなっており、そもそもエラーが起こりにくく、様々な食品の充填で高精度ということが特徴です。一方、充填機の分解洗浄などメンテナンスに手間がかかり、取り扱いに専門知識を要することもデメリットです。
ロータリー式充填機は粘体充填機とも呼ばれ、例えばマヨネーズや味噌、ミンチ肉など、一般的な液体ポンプでは制御が難しい高粘度の充填物を取り扱うために用いられます。
ロータリー式充填機はポンプ室内に2個のローターが設置されており、それらが作動して充填物を押し出します。
比較的シンプルな充填機ですが、ローター軸部分のオイルシールや金属疲労を軽減する軸受けパーツなど消耗品も多く、定期的なメンテナンスが重要です。
ボリューム式充填機(升切式充填機)は充填物を軽量升へ詰め込んで、測量しながら充填を行う機械です。加圧によって定量を計測するため、内容量に関する精度が高くなり、内容量のバラつきといった問題を防止できます。
ボリューム式充填機の充填物としてはゴマや七味唐辛子、ゆで小豆といった食品が一般的といえるでしょう。
ウェイト式充填機(重量式充填機)はその名の通り、充填物の重量を量った上で充填を行う機械です。なお、重量測定には内蔵の秤が用いられます。
ウェイト式充填機は容器の質量などが変わっても充填量が一定に保たれるため、充填物のロスを減らせることがメリットです。
ソースやケチャップといった食品の充填に用いられます。
グラビティー式充填機は落差式充填機とも呼ばれ、上部に設置されているタンクに対して、ノズルを下部に設置することで、落差(位置エネルギー)を利用して充填を行うことが特徴です。
グラビティー式充填機は充填したものの液面が一定になるため、水や飲料、酢といった液体食品や調味料の充填に利用されることが一般的です。
スクリュー式充填機は、スクリューの回転によって小麦粉や塩といった粉体を送り出せる充填機です。
スクリューの回転数によって計量するものと、計量器を併用するものの大きく2タイプがあります。スクリューを使って物理的に押し出すため、大きな粒だと割れてしまったり、摩擦熱で風味が変化したりといったデメリットもあります。
振動フィーダー式充填機は、充填物を載せたプレートを振動させることで、充填物を徐々に移動させて容器へ流し込む充填機です。
割れやすいお菓子や熱変成を起こしやすいコーヒー豆など、スクリュー式充填機では悪影響を及ぼしてしまう大きさの粒体や固形物の充填に用いられます。
その他、粉塵の発生が少ないことも特徴です。
※各社公式HPの2021年9月時点での記載情報をもとに用途別に下記基準にて選定
工業用:危険物にも対応した防爆仕様で全自動・半自動充填機を取り扱う営業拠点数の最も多い会社(クボタ公式HP参照:https://scale.kubota.co.jp/fillingmachine/)
食品用:食品専門で外部の検査機関への菌検査依頼への対応を明記している会社(大阪屋公式HP参照:https://www.osaka-ya.com/quality/)
卓上用:小型充填機の導入実績5,000台以上を明記している会社(ナオミ公式HP参照:https://www.naomi.co.jp/strength/)