液体充填機とは、内容物を目的の容器へ充填させるための機械の総称です。充填する内容物は様々で、工業製品だと消毒液のような液体から、粉末の製品や粘性の高い半固形状態のものまで幅広いのが特徴です。
また、液体充填機には全自動型と半自動型があり、内容物はもちろん作業環境の状況や作業員の数、業務フローなどに応じて選べることもポイントです。
工業製品の液体充填機では、液体はもちろん粘度の高いオイルやクリーム、ジェルも充填が可能です。ただし、液体であっても化学的な安定を求められる消毒液や、泡立ちやすい洗剤や界面活性剤といった種類ごとに注意すべきポイントが異なります。
工業用の液体充填機によっては、洗剤などの発泡性のある液体や、粘度の高いものでも充填が可能なため、事前に機能や性能についてチェックすると良いでしょう。
容器への充填作業をオートメーション化することで、作業員の業務負担を軽減できるだけでなく、一連の作業をスムーズに進めやすくなるといったメリットがあります。
また、どれだけの量をどれだけの時間で処理できるのか、シミュレーションしやすくなるため、適材適所のマネジメントによって短工期・低コストを追求することも可能です。
複数の人間が作業する場合、髪の毛や唾液、体に付着したゴミといった異物が混入してしまうリスクがあります。特に安全性を気にすべき製品の製造工程においてエラーを防ぐ取り組みは重要でしょう。
その点、機械による充填作業の場合、定期的なメンテナンスを行うことで異物混入のリスクを減らせます。また常に一定の品質をキープできる点も大きなメリットと言えるでしょう。
液体充填機を利用することで、事前に設定した量の充填物を指定容器へ注入してくれるため、それぞれの容器ごとに内容量が異なるといった問題もか解決できます。
また、内容量が不足している容器へ作業員が追加で注入したり、過剰な分を取り除いたりといった修正作業の手間が省けるという点も、作業を管理する上で大きなメリットでしょう。
液体をこぼさずに容器へ充填したり、粘性のある製品を充填したりしようと思えば、相応の技術や経験が必要になります。しかし、これらの作業の属人化が進むと思わぬ退職や休職といった事態でスケジュールが狂いかねません。
充填機を効果的に活用することで、作業の均一化を行い、誰もが同じ作業をスムーズに行える環境を整えられます。
充填作業を外部の業者へ委託している場合、継続的にアウトソーシングのコストが発生します。また、実際にどのような環境で製品が充填されているのか、即座にチェックできないというデメリットも。
充填機を導入することで、自社で一貫して製造や充填を行えるようになり、実際の作業が可視化できるので、安全面が強化できます。また将来的なコストの削減につなげることも可能となるでしょう。
工業製品の充填では充填物の内容や容器の形状、量などによって実作業の注意点も異なります。
また、充填機の導入や作業の自動化で一定品質の製造工程を構築できる反面、充填機が安定稼働を続けるには機械本体を含めた作業エリアのメンテナンスや清掃が不可欠です。
充填機の経年劣化が進めば部品や塗装の一部が剥がれて異物混入へつながるリスクも増大するため、専門家の定期点検によって機械の状態を隅々まで把握しておくようにしてください。
「界面活性剤」とは、化粧品や医薬品、食品など、様々な分野で広く使われている成分です。
分子構造のなかに、水と油のように混ざり難い部分が混在しているため、何かを混ぜ合わせたり、汚れを落とす作用があることから、洗剤の原料としても使われています。
このような界面活性剤を扱う充填機は、例えば、原料の流通事業を展開している企業等で活用されています。タンク車やローリーによって受け入れた大量の界面活性剤を、さらにドラム缶や18L缶などに小分け充填するため、充填機が欠かせないのです。
高精度な充填機を導入すれば、界面活性剤の充填に目欠をなくすことができます。また機械を分解洗浄できることも、便利に使えるポイントのひとつになります。
参照元:クボタはかりネット(https://www.kubota-hakari.net/special_detail.php?id=523#top)
界面活性剤は、輸送費などのコストカットの理由から、原液の状態で取り扱われることもあります。この場合、充填作業の現場では、原液の希釈とセットで液体充填機が活用されていることがあります。
ただし、界面活性剤の原液は取り扱いが非常に難しい液体。常温でも高粘度のため扱いにくく、さらに、温度が低下したり、適切な調合比で希釈水と防腐剤を混ぜ合わせることができない場合は、固形化してしまうこともあります。
株式会社ナカキンでは、このように取り扱いが難しい界面活性剤原液の課題を、ロータリーポンプや小型ポンプを搭載した液体充填機を提案することで、解決しています。粘度の程度を問わず、高精度に運送できる液体充填機が導入されています。
参照元:株式会社ナカキン(http://www.nakakinpump.jp/case/surfactant/)
近年、感染症対策等のために、「アルコール除菌剤」の需要が高まっています。スプレーなどの容器に入った状態で販売されるアルコール除菌剤も、当然ながら、液体充填機が活用されています。
そんなアルコール除菌剤の充填作業の特徴は、充填するアルコール(エタノール)の度数によって、導入すべき充填機が変わってくる、ということです。とりわけ60%未満の度数であれば、空気で充填するオールエアタイプの充填機が活用されています。
これは、充填時の摩擦や電気などで、万が一、火花が発生すると、アルコールに着火して火災が発生する危険性があるからです。
充填作業に電気を必要としない充填機としては、オールエアタイプのピストン充填機があります。ただし、空気を送り込むコンプレッサーには電気が使われることもあるため、安全な作業エリアまでエアチューブを隔離する必要はあります。
参照元:充填機とことん研究所(https://www.jutenki.com/news/sterilized-alcohol/)
食品や美容品などに使用される「香料」の充填には、粉塵等による火災を防ぐ防爆仕様が求められます。それだけにとどまらず、香料は販売単価が高額になる商品ですから、高い精度で充填したいもの。粘度が高い、泡立ちも多くなってしまうといった点でも、充填の難易度が高い内容物として知られ、機械に頼らず手詰めで行われていることも珍しくありません。
このような香料を充填できる充填機の事例としては、「株式会社ナカキン」の「BWF-1M」があります。ナカキンロータリーポンプを搭載しているため、高粘度の香料でも高い精度かつ高速に充填することが可能です。半自動の充填機になるため、人の手が必要ですが、製造時間そのものは大幅に短縮されるため、コストの低減につながっているようです。
参照元:株式会社ナカキン(http://www.nakakinpump.jp/case/essence/)
消毒液の充填でポイントになるのは、防爆仕様です。エタノールなど、素材によっては発火の恐れがあるため、防爆関連法規等を把握したうえで、しっかりとした対策と適切な充填機の選定が求められます。
また、消毒的の充填作業で注意したいのは、充填による泡立ちです。ポンプの種類によっては、充填した容器のなかで消毒液が泡立ってしまうため、品質に関わる可能性があります。「株式会社ナカキン」で導入されている、泡立ちをなくす昇降ノズルのように、泡立ちを抑える工夫が必要でしょう。
そのほか、消毒液のタンクと容器に対して充填機を設置する位置やスペースにも課題が発生する可能性があるため、周辺の作業環境と含めた対策が必要です。
参照元:株式会社ナカキン(http://www.nakakinpump.jp/case/antiseptic/)
衣服はもちろん、柔軟剤や漂白剤、はたまた金属部品など工業製品の洗浄に用いられるものまで、様々な種類の洗剤が充填機によって充填されています。作業現場の環境によっては、洗剤を大きな貯蔵タンクに貯めている場合もあり、そこから汲み上げて充填する場合、より汲み上げ能力の高いポンプが必要になります。
実際に「株式会社ナカキン」の液体充填機が導入された、洗剤の充填作業でも、なんと2mの高さまで洗剤を吸い上げる必要があり、当初つかっていた接触式のギアポンプでは、機械の消耗が課題になっていたようです。
洗剤の充填機選びで、貯蔵タンクからの吸い上げを行うポンプが必要な場合は、より強い吸引力があることはもちろん、消耗が少ない非接触のタイプのものがよいでしょう。
参照元:株式会社ナカキン(http://www.nakakinpump.jp/case/abluent_2m/)
化学製品の製造では、素材となる液体に少量の添加物を加えることを「ドープ」と言います。そのためトープ液とは、液体系の化学製品に添加する溶液のことで、用途に合わせて様々な種類のものが存在しています。
ドープ液を充填する際にも、液体充填機が使われます。「株式会社ナカキン」の事例では、タンクからドープ液を吸い上げるポンプに、自社製のロータリーポンプを活用。低い粘度から高い粘度まで、取り扱うドープ液の粘性にかかわらず、安全に輸送できるようになっています。また、使用するポンプには非接触系の機械を選ぶことができれば、輸送するドープ液に対する異物の混入を防ぐこともできるでしょう。
参照元:株式会社ナカキン(http://www.nakakinpump.jp/case/dope/)
引用元:「シーズ株式会社」YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=K4ZnS9wLauM)
シーズ株式会社では、自社製品である充填機「CTH」により、水溶性の塗料を充填する試験を実施しています。近年の技術発展によって、利用されるシーンが多くなっている水溶性の塗料。「CTH」を活用すれば、低粘度から中粘度の液体を充填したり、移送したりすることができるほか、化粧品や洗剤、医薬品、塗料、インク、化学薬品なども充填することができます。
充填作業は、スタートボタンを押すだけで充填が始まり、充填されている液体の量も画面で確認することができます。粘性のある塗料でもしっかりと移送してくれるため、充填作業の手間を大幅に削減することができるでしょう。
参照元:「シーズ株式会社」YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=K4ZnS9wLauM)
引用元:「シール機」YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=46GiZymGNi0)
こちらの小型缶に液体塗料を充填する事例では、製造工場のラインで充填機が活用されている様子を確認することができます。
導入されている充填機のメーカーは不明ですが、ラインに沿って流れてくる缶に、滞りなく液体充填を行っている様子が伝わってきますね。
充填された塗料の重さを検品している作業も見ることができますが、いずれの缶にも定量の塗料が充填されているようです。粘性がある液体を決まった量で充填する作業は、人の手では対応できる作業量も限られてくるため、まさに液体充填機の出番と言えるでしょう。
参照元:「シール機」YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=46GiZymGNi0)
※各社公式HPの2021年9月時点での記載情報をもとに用途別に下記基準にて選定
工業用:危険物にも対応した防爆仕様で全自動・半自動充填機を取り扱う営業拠点数の最も多い会社(クボタ公式HP参照:https://scale.kubota.co.jp/fillingmachine/)
食品用:食品専門で外部の検査機関への菌検査依頼への対応を明記している会社(大阪屋公式HP参照:https://www.osaka-ya.com/quality/)
卓上用:小型充填機の導入実績5,000台以上を明記している会社(ナオミ公式HP参照:https://www.naomi.co.jp/strength/)