充填機をはじめとした機器を使用していると、いくら気を付けていても事故が起きてしまう可能性があります。安全に作業を行うためには、あらかじめ起こりやすいトラブルについて把握しておくことが大切です。
ここでは、充填機で起こる事故についてまとめています。
自動充填機に塗料を充填している際に発生した事故の事例です。充填中にネジの緩みが原因でクランプが外れてしまい、手動操作に切り替えたうえで修理を実施。クランプを下げるためにロッドを持ち上げながら自動運転へ切り替えたところ、下がってきたクランプに左人差し指と中指を打撲・裂傷してしまいました。
使用していた充填機はエアーが入ると自動でクランプが下がるシステムであるのにもかかわらず、エアーを止めずに近道作業を行ったためこのような事故が起こりました。上記のような事故を防ぐには、エアースイッチを切ってから作業するのはもちろん、クランプやシリンダーを固定するのが大切です。
水性工場にて、1.6L充填機ライン上にある蓋切り出し装置内のふたが歪んでいる箇所があり、装置のスイッチを切らずにふたを除去しようとしたところ、装置に左手甲を挟み、約20針を縫う裂傷を負った事例です。事故当日は充填係員が不足しており、責任者である被災者に焦りの気持ちがあったため、このようなトラブルが発生しました。
また、普段から装置使用時にトラブルが発生した場合、スイッチを切ってから作業することを指導していたが、守られていなかったのも事故の原因として考えられるでしょう。上記の事故後は、装置に注意事項のラベルを貼り付けるなどの対策を行っています。
石油缶自動充填設備において、頭部の打撲・挫傷事故が起こった事例です。充填時に溶剤が石油缶から溢れないか確認するためにブース内上部から頭部を入れた際、可動式充填ヘッドが移動して充填ヘッドと排気ダクトの間に頭部が挟まれてしまい、無理矢理身体を引き抜いたことで顔面から頭部にかけて裂傷。被災者は安全のためにヘルメットを着用していたものの、患部を10針縫うほどのケガを負っています。
このような事故が発生した原因として、まず充填ヘッドの挙動を把握せずに設備へ頭を入れてしまった点が挙げられるでしょう。人が入ることを想定していない機器に関しては、カバーを設置するなどで可動部に入れないようにするのが大切です。
充填機は産業機械に分類されるため、漏電・感電防止のためにアースを取っておくのがポイントです。アースとは、電気の逃げ道として地面に金属棒を打ち込み、設備と地面を電気的につなげることを指します。
近年では、家庭用大型電化製品にもアース用の端子が付属されていますが、水を扱う現場においてはアースを取らないと非常に危険です。万が一不具合や漏電が発生した際、アースを取っていないと機器の故障や感電につながる可能性があります。
一般的に、コンセントは大きくアースターミナル付き接地ダブルコンセント、接地ダブルコンセント、ダブルコンセントの3種類に分けられます。ダブルコンセント以外の2つにはもとからアース線をつなぐ箇所がありますが、ダブルコンセントはアース工事が必要です。
ただし、アース線ではなくアース棒を使用する際は、工事を行う際に特定の免許が必須となります。充填機をはじめ電気を利用する機器はすべて、漏電対策のためにアースを取らなければならないため、工事をしていない場合は専門家に依頼してください。
※各社公式HPの2021年9月時点での記載情報をもとに用途別に下記基準にて選定
工業用:危険物にも対応した防爆仕様で全自動・半自動充填機を取り扱う営業拠点数の最も多い会社(クボタ公式HP参照:https://scale.kubota.co.jp/fillingmachine/)
食品用:食品専門で外部の検査機関への菌検査依頼への対応を明記している会社(大阪屋公式HP参照:https://www.osaka-ya.com/quality/)
卓上用:小型充填機の導入実績5,000台以上を明記している会社(ナオミ公式HP参照:https://www.naomi.co.jp/strength/)