液体充填時における泡の発生は、多くの業者を悩ませる問題の一つです。泡の制御には様々な方法がありますが、要件を満たす解決策がなかなか見つからないこともあるでしょう。
ここでは、液体充填における泡制御技術やそれぞれの向き不向きについて解説。消泡装置についても紹介します。
充填容器の口から泡が吹きこぼれることで、液量が不均一になり製品の質が低下します。さらに、容器外側やラインに充填液が付着し、環境を汚染するなど、製造工程全体に悪影響を及ぼします。
なぜ液体を充填する際に泡が発生するのでしょうか。大きく分けて二つの原因が考えられます。
界面活性剤を含む洗剤やシャンプー、炭酸飲料が泡立つことは一般的ですが、それ以外の成分を含む意外な液体でも充填時に泡立つことがあります。例えば、お茶や豆乳、醤油などに含まれる植物由来のサポニンは界面活性作用を持っており、これが泡立ちの原因になるのです。
充填時にポンプを使用することで圧力が変動し、充填液中に溶けていた気体が発泡するキャビテーションという現象があります。どの液体でも多少の泡が発生する可能性がありますが、その量は液体の性質や条件に左右されます。
泡を制御するためには、化学的、物理的に泡を抑制する方法があります。ここでは、7つの代表的な方法についてご紹介します。
炭酸飲料の場合、充填時の液温を下げて泡立ちを抑えることが可能です。ただし、温度を下げることによりエネルギーコストが増加し、結露対策が必要になる可能性もあります。
充填速度を遅くすると、液体が容器内で激しく攪拌されることを防ぎ、泡立ちを抑えられます。しかし、生産性が低下するため、注意が必要です。
泡を抑制するために消泡剤を充填液に添加する方法も有効です。しかし、消泡剤によっては液体の色や質感が変わる可能性があり、ランニングコストがかかる点も考慮すべきです。
消泡剤は、泡を形成する薄い膜を不均一にすることで、泡を破壊する作用があります。泡の表面張力を崩し、泡の発生を防ぐのです。
ロングタイプのノズルを使用し、液面との距離を短くすることで、泡の発生を抑えることが可能です。ただし、ノズルの形状やメーカーによっては対応できない場合もあります。
真空状態で充填を行う機械を導入することで、泡の発生を防ぐことが可能です。ただし、新しい機械を導入する場合は、既存のラインに適合するか、容器の形状に合わせた調整が必要です。
液体中の気泡を除去する脱泡装置を使えば、充填前に泡を除去できます。ただし、これは充填前の液体に対して行うため、充填時の泡立ちに対しては別途対策が必要です。
消泡装置は、強力な超音波を使って瞬時に泡を消すことができる機械です。液体を充填する際に発生する泡を消すため、既存の充填ラインにも簡単に後付けが可能です。
技術革新により、泡立ち制御の選択肢が増えています。例えば、充填機に簡単に取り付けられる消泡装置は、非接触で瞬時に泡を消すことができて効率的です。消泡剤の改良も進んでおり、成分の選定によっては液体にほとんど影響を与えずに泡を抑えることができるようになっています。
従来の物理的な対策だけでなく、化学的なアプローチとの組み合わせが可能になり、より広範なニーズに対応できるようになっています。
充填機における泡立ちは、生産効率や製品の品質に直接影響を与えるため、適切な対策が重要です。泡を抑える方法としては、液温の調整や消泡剤の使用、ノズルの変更など、さまざまな選択肢があります。特に、最新の消泡装置は高い効果が期待でき、簡単に導入できる点で非常に有用です。自社の製造ラインに最も適した方法を選び、効率的な充填を実現しましょう。
※各社公式HPの2021年9月時点での記載情報をもとに用途別に下記基準にて選定
工業用:危険物にも対応した防爆仕様で全自動・半自動充填機を取り扱う営業拠点数の最も多い会社(クボタ公式HP参照:https://scale.kubota.co.jp/fillingmachine/)
食品用:食品専門で外部の検査機関への菌検査依頼への対応を明記している会社(大阪屋公式HP参照:https://www.osaka-ya.com/quality/)
卓上用:小型充填機の導入実績5,000台以上を明記している会社(ナオミ公式HP参照:https://www.naomi.co.jp/strength/)