腐食性溶液にはさまざまなリスクがあるため、液体充填機に使われないことが多いです。けれども、使用できる充填機が全くないといわけではありません。必要な場合には、溶液の性質をふまえた上で、慎重に選ぶようにしましょう。このページでは、腐食性溶液を手作業で充填するケースが多い理由、そして使用可能な液体充填機について紹介しています。
充填機を複数台導入していても、腐食性溶液に関しては、充填を手作業で行っている工場が少なくありません。腐食性液体は人体に影響を与えるリスクがあり、扱いには慎重さが求められるので、作業ペースを上げることは難しいです。にもかかわらずなぜ、効率の良くない手作業を続けているかというと、次に挙げるような理由があるためです。
配管・充填ノズルに金属系の素材を用いて耐久性をもたせている充填機が多いのですが、腐食性溶液の作用を受けると、そういった接液部から成分が流出してしまうリスクが高まります。表面の不働態層がダメージを受け、徐々に製品の中に溶け出てしまう場合があるのです。
接液部以外のパーツにも、腐食性溶液の影響はおよびます。充填作業を行う際、腐食性液体が接するのは、基本的には接液部だけです。けれども実際には、空気中に放出されたミスト状の溶液が、接液部以外の場所に付着してしまう可能性が充分にあります。
扱いに慎重さが求められ、かつ、素材によってはかなりのダメージを与えてしまう腐食性溶液。充填しようとすること自体に無理があるように感じられるかもしれませんが、溶液の組成や濃度、そして温度などにより条件は異なってきます。ここでは、腐食性溶液に強い充填機についてみていきましょう。
SUS304など、平均的なステンレス系金属あるいはそれ以上の耐腐食性の金属素材を使用した充填機の場合、少量の溶液がほんの短時間付着しただけであれば、受けるダメージをおさえやすくなります。
溶液によっては、ステンレスでもダメージが大きくなる可能性があります。判別するのが難しい場合には、稼働中の充填機のさまざまな部分の腐食状況を確認してみてください。タンクや溶液取り出し口から0.5m, 1m, 3mなど、複数個所の腐食状況を比較することで「どの部分にどの金属を使用できるか」を考えるためのヒントになります。
素材内部への浸食が強い場合には、高濃度塩酸であっても使えるハステロイ(高耐食性のステンレス)を採用してみるのも、ひとつの方法です。ただし、かなり費用がかかってしまうという問題点があります。
Strpackが取り扱っている重力式充填機は、漂白剤や硫酸、84消毒剤、ゲル水、トイレクリーナーといったような腐食性溶液の充填用として、特別に製造されているものです。
充填時間によって充填量がPLCでコントロールされ、各充填ノズルの重量フィードバックを受けることで、充填精度が保証されるようになっているのが特徴です。操作はタッチスクリーンで行うことができます。また、接触部品にはいずれも、腐食を避けるために頑丈なプラスチック材料が採用されています。
ZONESUNが取り扱っている腐食性液体充填機は、金属と接触できない腐食性液体などを充填するために開発された製品です。本体部分にはPP素材が、そして液体が通過する部分にはPTFEおよびPVC素材が、それぞれ使用されています。
米国コゾリ社の卓上型液体充填機F400X-DPは、製薬や化学品、化粧品などの分野で広く使用されている製品です。充填精度が高く、清掃がしやすく、そしてオートクレーブ滅菌タイプなので、使い勝手が良いです。複数の機種ラインナップがあり、充填量は0.05~600cc、そして充填ノズルは1本仕様~12本仕様に対応しています。追加オプションによるパーツ取付けも可能です。
※各社公式HPの2021年9月時点での記載情報をもとに用途別に下記基準にて選定
工業用:危険物にも対応した防爆仕様で全自動・半自動充填機を取り扱う営業拠点数の最も多い会社(クボタ公式HP参照:https://scale.kubota.co.jp/fillingmachine/)
食品用:食品専門で外部の検査機関への菌検査依頼への対応を明記している会社(大阪屋公式HP参照:https://www.osaka-ya.com/quality/)
卓上用:小型充填機の導入実績5,000台以上を明記している会社(ナオミ公式HP参照:https://www.naomi.co.jp/strength/)