液体充填機の運用において、温度管理は重要な役割を果たします。特に食品や化粧品、薬品など、液体の充填が必要な製品では、温度が品質や生産効率に直接影響を与えるため、慎重な管理が必要です。ここでは、液体充填の温度管理について、その分類や影響、具体的な事例を紹介します。
液体の充填温度には、主に以下の3種類があります。
液体充填機における温度管理は、生産性にも大きな影響を与えます。製品の温度が変化すると、粘度(液体の流れやすさ)が変わるため、適切な温度での充填が求められます。
これらの問題を解消するためには、充填速度やノズルの設計を改良する必要があります。また、温度が変化すると製品の比重(同じ体積の液体の重さ)が変わるため、容量式充填機では重量に差が出る可能性がある点にも注意しなければいけません。
高粘度製品、例えばシャンプーやソースなどを充填する際には、温度管理が特に重要です。高粘度の液体は温度によって流動性が大きく変わるため、以下の点に注意が必要です。
温度が高くなると粘度が低下し、液体がより流れやすくなります。しかし、品質維持のためには適正な温度を保つことが求められます。粘度が変わると充填量が不正確になり、液だれや糸引きが発生する場合があるため、ホッパーや充填ユニットに温度調節機能を持たせることが効果的です。
製品の特性に応じて、温度を一定に保つ設備を選定することで、生産効率の向上が可能です。製品の温度が一定に保たれることで、充填作業がスムーズに進み、歩留まりが向上します。
冷凍食品の製造工程における液体充填では、製品特性に合わせた温度管理と充填方法が求められます。具体的な事例として、パスタ、フライ、ハンバーグ、麺スープの製造における充填方法を見ていきましょう。
冷凍パスタの製造では、まず麺をほぐしやすくするためにオイルを充填し、その後にソースを充填します。麺全体に均等にオイルが行き渡るようにするには細いノズルを使い、高速で流量を調整することが効果的です。一方、ソース充填では麺の形状を崩さないように、できるだけゆっくりと流し、見た目を美しく仕上げることがポイントです。
フライやハンバーグには、ソースを全面に均等にかけることが求められます。ソースの量が多すぎると食材との味のバランスが悪くなり、少なすぎると見栄えが悪くなるため、適切な量を維持しましょう。また、充填時にトレーが汚れないようにしなければいけません。
麺スープの充填では、液ハネを防ぐために、ノズルの口径や充填速度を調整します。容器の高さが低いため、液ハネが発生しやすい状況ですが、適切なノズルの選定と充填速度により、スムーズかつ高速な充填が可能になります。
液体充填における温度管理は、製品の品質や生産性に直接的な影響を与えます。特に粘度が変化しやすい製品や冷凍食品の充填では、温度管理に気をつけましょう。適切な温度管理を行い、設備を最適化することで、効率的で高品質な製品を提供することが可能です。
温度管理の重要性を理解した対策を講じることで、充填作業の効率化と製品の品質向上を実現しましょう。
※各社公式HPの2021年9月時点での記載情報をもとに用途別に下記基準にて選定
工業用:危険物にも対応した防爆仕様で全自動・半自動充填機を取り扱う営業拠点数の最も多い会社(クボタ公式HP参照:https://scale.kubota.co.jp/fillingmachine/)
食品用:食品専門で外部の検査機関への菌検査依頼への対応を明記している会社(大阪屋公式HP参照:https://www.osaka-ya.com/quality/)
卓上用:小型充填機の導入実績5,000台以上を明記している会社(ナオミ公式HP参照:https://www.naomi.co.jp/strength/)